経済紙が報じるところでは、エンターテインメント業界の頂点に立つ企業でのある米国ディズニー社が日本のアニメ制作企業に依頼した映画「スターウォーズ」の動画が22日に公開されるという(2021年9月14日朝刊)。
日本が世界に誇る三大ソフトと言えばアニメ、ゲーム、カラオケだが、いずれも戦後のことでテレビ時代以後のものである。アニメはそれ以前から漫画本や漫画映画としての歴史がある。
ところで、アニメの大家、ウォルト・ディズニーが戦意高揚アニメの制作に当たっていたのを「その時カメラは回っていた」(NHK総合テレビ、2021年8月18日放送)で紹介していた。日本やドイツは実写ものが多いのに対して、さすが米国の方は漫画(アニメ)映画が主だったようだ。ポパイの力の見せどころである。
ディズニー自身が第一世界大戦の義勇兵に応募した事実があるそうだから、戦意高揚アニメの制作を頼まれれば、積極的に取り組んだのかもしれない。中でも、ヒットラーを模した人物を揶揄した大作は興味深い。戦意高揚や米国側の奮闘に繋がったとしたらさすがである。
戦後も戦意高揚ものに代わって、冷戦期初期においても原水爆実験の安全性をアピールする目的の宣伝映画が作られたようだ。ネバダ州の核実験場の安全性を信じた兵士や住民も少なからずいるという。
その実写ものより優れたアニメ制作で成功していたディズニー社が、動画配信で先行するネットフリックス社に対抗するためとは言え、自社の実写もの(+CG)のヒット作「スター・ウォ―ズ」の動画制作を日本のアニメ制作会社に依頼したというのは、何とも皮肉な話である。競争優位をめぐる戦いは止まるところを知らないようだ。