社長の「年頭所感」と報酬の関係

今日は1月4日=2013年の最初のweekdayである。今日が本年の仕事始めというところも多いであろう。「仕事始め」ではしばしば社長から「年頭の所感」が示される。伝達の手段は企業の大きさ、事業所の展開度、従業員の数などによって異なるようだ。

日本企業における「社長の年頭所感」でしばしばみられるのが「社員」「従業員」への「経営参加」型呼びかけである。例えば、「わが社は今、大変な経営環境に置かれています。そのことは皆さんもご承知の通りです。……会社は皆さんの頑張りを必要としています。鉛筆1本の節約、こまめな消灯…一つ一つは小さなことですが、皆さん努力して会社の業績向上に向けて協力をお願いします」といったものがひとつのパターンである。

ここには日本企業の仕組み、とりわけ経営者の在り方の特徴がよく現れているように思われる。

欧米企業のトップ・マネジメントなら、年頭に従業員を相手にspeech するとしたら、まず今年の目標について語るであろう。しかも単に数字を掲げるだけではなく、そのための手段=「経営戦略」「戦略計画」といったものを指し示し、この計画は実現可能だということを具体的に示して、それへのコミットメント=協力を求めるであろう。

社員、従業員の頑張り無くして如何なる目標、計画も達成不可能なのは日本企業も米国企業も同じである。ときに従業員に対する「所感」「呼びかけ」の形で経営参加、協力を求めることがあるのも同じであろう。

違うのは、トップ・マネジメント自身の目標やその達成のための戦略が語られるかどうかである。欧米でトップクラスのCEOが何億円もの報酬を得ているのはまさにそれができるからにほかならない。日本企業の「戦略不全」を説く本が売れるこの国で、今年もまた「従業員のみなさん、無駄をなくしましょう。経費節減に努力して下さい」としか言えない社長がいるなら、2013年の企業業績も相変わらず厳しいものになるに違いない。

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