F1参戦と社員の「ワクワク度」

「経営のグローバル化を図りたい」「グローバル企業を目指したい」……多くの企業の経営計画は「グローバル」という言葉で溢れ返っている。だが「グローバル化」の意味は、実は「海外売上高比率の上昇」であったり、「振興国市場における営業利益の増大」や「外国人役員の採用」であったり……まちまちである。

では、「グローバル企業とは何か(?)」「どのような企業をグローバル企業と言うべきか」については確たるコンセンサスはない。勿論、「欧米企業イコール、グローバル企業」ではないことは言うまでもない。むしろ、GEなどは米国のドメスティック企業としての体質の方が強いのではないだろうか。

GEの「海外渡航者マニュアル(海外勤務の勧め)」には、海外勤務が決して「出世コースから外れる」ことを意味しないことが説かれており、「多様な経験を積むことがキャリア形成にプラスになる」ので嫌がらないように、といったことが書かれている。

ホンダがF1復帰を表明した。ホンダのF1との係わりは長いが、そもそも、ホンダは日本の一オートバイメーカーであった頃から、オートバイのスピード№.1を競う「マン島レース」に参戦していた。マン島レースで勝つことは本田総一郎の夢でもあった。それは本田総一郎が「世界」を目指していたからである。いまは浜松の小さなオートバイ工場だが、スピードで世界一になってホンダの名を世界に知らしめてやるという思いである。思いは社員に伝わり、皆をワクワクさせた。総力を結集して、あっという間にマン島レースを総なめにしてしまった。

この「世界で通用する」という精神、カルチャー(企業文化)こそが「グローバル企業」の必要条件である。ソニーも初めから米国市場を目指していたからこそ「世界のソニー」になったのである。この精神、カルチャーなしに、いくら現地人社員を登用しようが、社内の公用語を英語化しようが「グローバル企業」には慣れないであろう。人事や制度・手続きは変えられても、社員の心までは変えられないのである。

ホンダも「世界のホンダ」になったし、ソニーも同様である。ホンダの伊東社長はF1復帰の理由について、「何かわくわくする会社、そういう雰囲気を持っていきたい」と述べている。企業が元気であるためにはチャレンジし続けること、自ら伸びていくことが必要であり、それには常に目を世界に向けている、世界と何らかの形で係わっていることが大切なのであろう。

カテゴリー: グローバル人材, 日米企業(比較), 異文化マネジメント パーマリンク

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