経営のグローバル化と「プロの経営者」

 最近、日本でも「プロの経営者」を雇うケースが出てきている。アップルコンピューター(日本)社長から日本マクドナルド社長に転身し、「マックからマックへ」とはやされた原田永幸(泳幸は自称)は2013年からベネッセホールディングスの会長を務めている。異業種のからの登用と驚きをもって迎えられたのが、日本コカコーラ会長から資生堂社長に転じた魚谷雅彦である。ローソン会長からサントリーHD社長に抜擢(?)された新浪剛史も記憶に新しい。いずれも以前の企業でみせた経営手腕を評価されてのことであった。

2015年の年末には、2011年に「プロの経営者」として日本GEトップからLIXILグループ社長に登用されていた藤森義明が降板し、後任に工具通販大手のモノタロウ会長の瀬戸欣也が登用された。藤森氏はLIXILを急速に「グローバル化」したが、中国事業で躓き、責任を取らされた模様である。

「内部昇進」を専らとして人材を育成・精査し、時の社長(会長、最近では時としてCEO)の眼に適った人物を自らの後継者に指名する、というのが伝統的な日本企業におけるトップ・マネジメントの交替パターンであった。長い間、「プロの経営者」を企業の外部からスカウトしてくるというのは、日本企業にとって、未曽有の経営危機など、余程のことが無い限りあり得ない選択肢だったのである。

勿論、内部登用の社長が「プロの経営者」ではないということではない。瀕死の松下電器産業(現、パナソニック)をV字回復させた中村社長、製造業史上最大の赤字を記録した日立製作所の経営を立て直した川村会長兼社長も「プロの経営者」に挙げられるべきであろう。

ただ、中村社長の対策も川村会長兼社長が採った再建策も、いずれもドラスティックなもので、従来の日本企業にみられる「みんなで何とかする」対応ではなく、トップダウン型の、川村氏の言葉を借りれば「欧米企業型の」経営改革であった点は見逃せない。

成功した経営改革の処方箋を見ていると、経営のグローバル化は、日本でも「プロの経営者」の時代を招来しつつあるようである。

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