イギリスの紅茶とブラジルの柿

 イギリスで初めてスーパー(Waitrose?)に入った時、「そうだ紅茶を買わなくっちゃ」と思いつき、売り場を探せども探せども、「紅茶売り場」がない。スーパーの中をぐるぐる回っているうちに気が付いたら、「紅茶」は売っていないのである。その代わり『アールグレイ』とか『ダージリン』とか『アッサム』とかいう表示があって、ちゃんと紅茶は売っていたのであった。
 
イギリスのスーパーにもみかんが出回って来る。オレンジではなく、あの日本のみかんである。日本のみかんは ”SATSUMA” と言う。どう考えてももとはあの「薩摩」であろうが、さて鹿児島がみかんの産地であったか。仮にみかんがとれたとしても、紀州みかんのような全国区ブランドではあるまい。薩摩とイギリスと言えば、言わずと知れた幕末である。であれば100年を越える時間、”SATSUMA”という言葉が生きて来たのか。” Keiretsu”や” Kaizen” などよりはるかに多くのイギリス人が知っている日本語であろうが、恐らく日本語だということは知られていないであろう。
 
ところで、イギリスで売っている日本みかんは Product of Spain、スペイン産である。「味は日本、生産はスペイン、販売先はイギリス、商品名=幕藩体制」というまさにグローバル商品である。

ブラジルでは柿のことを”KAKI(CAQUI?)と言うが、ブラジル人は誰もそれが日本語であることを知らない。子供の頃からそう呼んでいるから、彼らにとってはポルトガル語なのであろう。「それはもともと日本語なんだ」ということを聞いても驚くこともない。日本語のように、ラジオやポケットという風に(カタカナで)外来語表示される訳ではないからであろう。

柿に限らず、ブラジルには日本人移民が持ち込んだ野菜や果物が市場にあふれている。そもそもブラジルには生野菜を食べる習慣がなかったとも聞く。ブラジル政府が自国の開発に移民を利用しようとし、日本政府が東北や九州の貧しい国民を「輸出」して救済しようと考えたとき、誰もブラジル人に野菜を食べる習慣が身に着いたり、柿や富士(リンゴ)が食卓に上がることを予想しなかったに違いない。

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