「母の日」とグローバル・スタンダード

 イギリスでは母の日は3月である。3月に入ると、バレンタイン・デーのカードが並んでいた売り場には母の日用のカードがずらっと並び、それぞれ思いを込めてそれを母親に贈るようである。だが、母の日は日本では、5月の第2日曜である。勿論、外国から来た習慣であって、日本古来のものではない。

 調べてみると、 「 Mothering Sunday :昔からあったお祭りとアメリカの母の日が重なったもの」とある。どうも母の日が5月の第2日曜というのは、アメリカの習慣が基になったものらしい。しかし、イギリス人は何故、母の日を3月にしたのか?

 イギリスに長い女性(アイルランド人)に聞いても、「どうして3月なのかしら。故郷(アイルランド)では 5月だったわ。イギリス人は odd だから・・・・・・どうせ仕様もないこと決めたんでしょうね。」と全く理由は不明のままに終わった。いずれにせよ、どうも母の日に関しては、日本がグローバル・スタンダード型で、イギリスの方が世界標準から外れているということらしい。
 こういう文化、習慣の話になるとアメリカとイギリスでも違いがあり、「経済社会にはアングロ・アメリカン型と日本型があって、その中間を行くライン型もある」などという学者の線引き通りにはなかなかいかない。

 こんなこともあった。イギリスで移動中の列車の中、ボックス席の向かいに座ったイギリス人(に見えた)女性がむずがる赤ん坊に手を焼き、おもむろにヤッとおっぱいを出して授乳し始めたのである。日本での通説によれば、「人前でおっぱいを出して授乳することを恥ずかしがらないのは母性を聖なるものと捉える日本女性の習慣で、外人が見るととても驚く」 というものだったからである。
 
 物事を見るとき、パターンにはめて理解しようとするのではなく、あるがまま・・・・・・ “as it is” に認識するということがいかに重要であるかの一例を示すできごとである。

カテゴリー: 生活習慣, 異文化マネジメント パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です