ゲン担ぎ、「ウサギの足のキーホルダーは幸運をもたらす?」、そして……

2021年06月12日

カテゴリ:

 経済紙の別刷りに「ゲン担ぎ」に関するアンケート調査の結果が載っていた。まず、「ゲン担ぎ」は漢字でどう書くか……問題は勿論「ゲン」という字であるが、正解は「『験』担ぎ」である。

 さて、験担ぎの記事であるが、よく知られているものとしては、「可能な限り後の順番を選ぶ」=「残り物には福がある」や「緊張しないように、手のひらに『人』という字を書いて飲み込む」などが触れられていた。

 ここで、目を世界に向けてみよう。西洋には「西洋占星術」があり、中国には「干支・十二支」などがあり奥が深そうなので、西洋の験担ぎから有名なものを2~3挙げてみる。

・「ウサギの足でできたもの(例えば、キーホルダー)を身に付けていると幸運が訪れる」
・「梯子の下を歩くのは不吉」
・「鏡を割ると不吉」

 これらに馴染みがなく、「な~んだ、くだらない」と思う日本人も、仏滅や友引の日に結婚式を挙げたり引越しをするのをためらう気持があるのは興味深い。付け加えて言うと、紹介した西洋の験担ぎ、特に、「不吉」な方にはそれぞれその解消法も存在する。

 験担ぎはひとびとの日常生活や行動の中での小さな(?)意思決定の手助けになっているとすればそれはそれで構わないが、大切なことは験担ぎにも謂れがあり(例えば、「13日の金曜日は不吉である」はイエス・キリストを裏切ったユダが13番目の弟子であり、そのためにキリストが十字架に架けられたのが金曜日だった)、その基となった謂れ・歴史に思いを馳せることではないか。

 特に「歴史」については、日本人には忘れられぬ記憶がある。「歴史は繰り返す」とも、「一度起きたことはまた起きる」とも言われるが、3・11東日本大震災の際、一体何人の日本人が「津波が来たら神社に逃げろ」という言葉を思い浮かべることができたのだろうか。例えその根拠が分からなくても役に立ったであろうが、もしその意味するところや過去の津波被害の歴史的事実を知っていればはるかに応用度は高くなるに違いない。

 何事も当たり前のように受け入れ、通り過ぎるのではなく、ちょっと振り返って考えてみるのも時には大切なようだ。

テレワーク、監視社会、そしてジョージ・オーウェル?

2021年05月23日

カテゴリ:

 東京オリンピックまで2か月を切り、国内外で開催の是非が議論される中、コロナ禍対策としての「緊急事態宣言」の発出に歯止めがかからない。ウィルスの変異種増加も言われており、対策として「テレワーク」の強化も要請されている。

 ただ、このテレワークの強化要請、「出勤者の7割削減」という目標を伴っており、「在宅勤務を増やして人の流れを削減したい」という意味に近いと思われる。主要各紙も在宅勤務がらみの特集記事が多く、各種アンケート調査でも「出社率の削減」が一つの焦点である。

 コロナ禍対策としての人と人との接触機会の削減であれば、何も「在宅勤務」でなくても「リモートワーク(遠隔勤務)」であればいい筈だが、単なるテレワークでは出社した上で営業先を直接訪問しないとか、社内会議をリモートで行なうなど出社することに伴う人流は必ずしも減らないため、敢えて「テレワーク=在宅勤務」の意味で使っているものと思われる。

 ところで、テレワーク=在宅勤務には危険が潜む。社員が自宅で仕事をするとなると、第一に労働時間管理の問題=労働時間の把握問題が起こる。パソコンを開いて作業している時間はいいが、合い間に考え事をしている場合は労働時間に含められるか、職場ではよくあるちょっとした同僚との雑談に当たるものはどうなのか……

 更に、パソコンで作業ファイルを開いていても操作が連続しないケースは、考えながら仕事をしているのか単にぼうっとしているのかよく分からないなど、在宅勤務の中身に入っていくと問題の根は意外と深いように思われる。

 そこで登場するのが「監視ソフト」である。社員が使用したファイル名称、やり取りしたメールの件名、サイトの閲覧履歴などの情報を収集するソフトを社員のパソコンにインストールすることで「働きぶり」を把握しようというのである。更にパソコン搭載カメラを使った何かが加われば、もはや在宅生活そのものの「監視」に近づいてしまう。生活の場の中にまで踏み込むと、プライバシーと仕事の線引きは難しい。

 かつて、ジョージ・オーウェルは1949年に発表した未来予想小説『1984』で、独裁国家の中で国民が絶対的統治者から「テレスクリーン」と呼ばれる装置で24時間、生活を監視・支配される姿を描いてみせた。今、70年の時を経て、「情報」「データ」「プライバシー」、更には「自由」や「働く喜び」の意味が改めて問われているのかもしれない。

脱炭素宣言、高い目標、そして伝説のCVCCエンジン

ホンダが大胆にも2040年までにガソリンエンジンを搭載する新車の販売を止めるという「脱ガソリンエンジン車」戦略を打ち出した。ガソリン車に替えて電気自動車や燃料電池車メーカーになるという「脱炭素宣言」である。あのF1のホンダが…と注目を浴びた。

「脱炭素宣言」は時代の大きな潮流であるし、高らかな目標設定は流行り(?)でもある。どこかの国の環境大臣もつい最近、一国の二酸化炭素排出量の削減目標を特に根拠も示さないまま20%上積みしてみせてニュースになった。もっとも、経営学には「ストレッチ戦略」という考え方があり、困難を伴う目標に対して何にも増して「目標に向かう強い意思とやる気」を重視する。環境大臣が経営学の知見に基づいて行動・発言しているのかは図る由もないが……

 ところで、ホンダは創業以来、技術的に画期的なエンジンを開発することで「世界のホンダ」へと成長してきた経緯、歴史がある。代表的な事例が1973年の「CVCCエンジン」の開発だ。

 当時は、モータリゼーションの進行により、世界中が「光化学スモッグ」などの自動車排ガス由来の公害問題で悩んでいた。特に、米国はこの問題に厳しく法的に対処し、1970年には「1976年以降に製造される自動車の排出する窒素化合物(NOx)は1970-71年比で10分の1以下に削減しなければならない」とした。所謂「マスキー法」である。

 現状の10分の1以下という要求に、当然、米国自動車メーカーのビッグスリーは反対し、米国議会の公聴会で「技術的にimpossible」と証言したが、日本でも1973年に「日本版マスキー法」が成立し、米国と同水準の排ガス規制が実行されることとなった。

 本田宗一郎は1972年に、「75年排ガス規制をクリアするエンジンを73年から商品化する」と記者発表し、ホンダの技術陣はそれをガソリンの燃焼技術に工夫することで実現した。かくて、CVCCエンジンはマスキー法をクリアする唯一のエンジンとして世界にその名を響かせ、後発だったホンダはグローバルな自動車メーカーに飛躍したのである。ストレッチが利いたのである。細かい改善・改良をコツコツ積み上げて行くのが日本企業の強みであるというのは平時の視点であろう。

 なお、CVCCエンジンの開発は燃費を改善するものでもあったため、折からの石油ショックの中で、「低燃費の日本車」が世界を席巻するきっかけともなったという意味で、極めて重要なターニングポイントであったことは言うまでもない。

ジェネリック医薬品、あなたな~らどうする?

2021年04月25日

カテゴリ:

 2021年3月3日のひな祭り当日、日本最大のジェネリック医薬品(後発薬)メーカーである日医工(株)が医薬品の出荷試験における10年にもわたる不正で「業務停止」処分を受け、世間を驚かせた。

 ジェネリック医薬品(後発薬)という言葉も黒柳徹子のテレビ・コマーシャル以降、家庭でもすっかりお馴染みになった感があるが、病院通いの人や持病持ちで薬が欠かせない人にはすっかり知れ渡っているのというのが実情だ。

 と言うのも、あちこちの薬局で薬剤師からジェネリック医薬品(後発薬)を薦められるからである。曰く、「お医者さんから処方された薬と同じ効果がある薬で、お安いです」。一億総薬漬け(?)社会では魅力的な言葉だ。背景には医療費総額抑制の政策がある。

 ところで、ジェネリック医薬品(後発薬)は、世間で信じられているように、本当に医者の処方薬と同じ薬なのであろうか(?)

 複数の専門家・業界関係者にヒアリングしたところ、ジェネリック医薬品とは先発薬の特許切れになった知見(化学構造など)を基に、その他の添加物や製造工程などを独自に工夫して「開発」される薬であって、先発薬とは別物である。その意味では、「医者から処方された薬と同じ効果がある薬で、安価」ではあるが、「先発薬と同じ薬」ではない。独自に工夫した部分については後発品メーカーの責任である。(だからと言って、「効かない」とか「リスキーだ」とかを主張するものではない。)

 最近、薬局で向こうから「ジェネリックにしますか」と聞かれたり、熱心なところでは「特にお申し出の無い限りジェネリック医薬品をご用意致します」という薬局に遭遇した経験はないだろうか(?)薬剤師が医療費総額抑制の政策を思ってそこまで頑張るのかと言えば、それもあるかもしれないが、ジェネリック医薬品を提供する薬局にはちゃんとインセンティブが出る仕組みになっているのだそうだ。「なるほど」、医療費の抑制は必要だし、家計の負担を考慮するのも大切だし…さて、先発薬と後発薬、どちらを選択します(???)

「蜜」とマンボウ

2021年04月19日

カテゴリ:

 「マンボウ」(蔓延防止等重点措置)の甲斐もなく、連日コロナ感染者数1000人越えを記録している大阪府。いよいよ次のステージ=「緊急事態宣言」の要請へ踏み切る姿勢を見せている。原因はどうやらウィルスの変異種で、東京都も後を追っている。

 ところで、マンボウと言えば、水族館では人気者だが、その人気故に見学者が群がることが多く、どうやって入場者を分散させるかが、水族館側の永年の課題であったと言う。

NHK総合テレビ番組「逆転人生」(2021年4月12日放送)の中で、山野智久氏はインタビューに答えて、彼の経営する企業が「観光体験ツアー」予約サイトの運営で大当たりし、好業績を上げていたこと、それが昨年来のコロナ禍での外出自粛等で一気に霧消し、会社倒産の危機に陥ったことを明かしている。

 他方で、入場制限などの「『密』にならないように」とのコロナ対策は、各地の動物園や水族館などでも強化され、それらの施設側も経営難に苦しんでいた。

 山野氏の「逆転の発想」はここに注目した。即ち、予め「『密』を避ける」べく入場者を分散するように来園日・入場時間を割り振った「日時指定チケット」販売システムを開発することであった。それも短期間で。

 システム開発は難作業だったが、狙いは的中し、全国の水族館などから問い合わせ・注文が相次ぎ、会社の業績はコロナ不況下でV字回復を遂げる。

 この発想は世界のコロナ禍に置かれた企業に参考となろう。「『密』を避ける」という経営環境に、「『密』を避ける」経営手法によって対処する。「そんな馬鹿な」…「なるほど」、グローバルな経営戦略は常に、正確な「時代認識」「理解力」「論理的思考力」によって支えられている。

過去の記事を見る