オリンピックのメダル激減!どうなる日本企業の現場力?

 三菱電機が製品の品質管理問題で揺れている。鉄道車両用設備の品質検査に長年不正があったことが判明したのだ。同社ではここ数年、検査や品質に関する不正が発覚して経営問題化したにも拘らず、6月末開催の株主総会で報告していなかったことなどから、杉山社長が辞意を表明する事態に陥っている。

 日本企業の品質管理に関する不正は、何も三菱電機に限ったことではなく、2015年の東洋ゴム工業による「建物の免震ゴムの性能偽装」、2016年の神戸製鋼による「一連の検査データ改ざん」、2017年の三菱マテリアルにおける「複数子会社による製品検査データ改ざん」と立て続けに起きている。製品の品質の高さをその競争力の一つとしてきた日本企業に関する傾向としてはにわかには信じがたい事態だ。

 そもそも、日本企業における「品質」は「現場の力」、従業員の品質管理への参加を抜きには語れない。第二次世界大戦後、米国からデミング博士を招いて科学的品質管理に道を開いたのみならず、日本独自の工夫として、「エンジニアが指示・計画するのではなく、現場作業員が自ら参加する」現場レベルの品質管理の定着に成功したのである(QCサークル)。

 また、現場工が切削技術などの技能の腕を競う「技能五輪」では、かつて日本はメダルを独占していたものである。が、2000年代に入ってからは次第にメダルから遠のいて来ているという現実もある。

 その意味では、今回の三菱電機の検査不正の問題もトップ・マネジメントが辞任して済む類の問題とは考え難い。それは余りに製造現場の従業員に依存してきた日本企業に特徴的な品質管理手法の実態とかけ離れているように思われてならない。

 日本企業の、とりわけ製造業の現場力に依存するところ大であった品質管理手法の見直しがどのように推し進められるのか、大いに注目していきたい。

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