トップ・マネジメントの意思決定と「ホウ・レン・ソウ」

2013年3月15日、ブラジル・サンパウロ市内のホテルにて、「ブラジル日本商工会議所」メンバー向けに講演を行った。(以下は、基本的にブラジル日本商工会議所ホームページの要約を転載したもの。)

冒頭、ブラジル日本商工会議所の近藤正樹会頭(ブラジル三菱商事社長)から特別講師としての藤野哲也長崎大学名誉教授に対して歓迎の辞が述べられた。

講演のテーマは「トップ・マネージメント」。

経済学者グレゴリー・マンキューによれば、過去100年間前後のGDP伸び率は、日本が年率平均で2.81%(1890-2000)と世界でトップの伸び率を記録、2位はブラジルの2.45%(1900-2000)と意外な結果となっていることを指摘。

(20年間大学で教鞭をとっているとメモを取らない学生は、理解力に乏しく成績も悪いと爆笑を誘い、)
1990年代から日本は「失われた20年」と言われ、小売りや流通業界は低迷と再編に見舞われて停滞していたにも関わらず、大手流通グループのイオンは増収、増益を続け「小売業『日本一』」を達成できたのは、岡田屋から始まったイオンのトップ・マネージメント主導の経営にあり、「2期4年」式のサラリーマン型社長による短期の経営ではなく、創業者型の長期のトップダウン型経営が効を奏していると説明した。

また藤野哲也名誉教授は国立大学の経済学部・商学部の修士課程で「MBAコース」があるのは一橋大学、神戸大学並びに長崎大学だけであり、うち博士課程でDBAコースがあるのは長崎大学だけであって、現役の社長や会長からトップ・マネージメントとしての生の話が聞ける講義を行っていると説明した。

ジャスコ(現『イオン』)の名前の言われである“Japan United Stores Company” の精神・哲学について説明、またGEのジャック・ウェルチ会長は20年間に亘ってCEO職を務めたこと、同会長は後継者の人材育成に力を入れていたが、日本の社長の任期は短か過ぎるために実は自分で責任を持った経営戦略の実行ができないことを指摘した。

「トップ・マネジメントの在り方」については、日本企業において上司が部下に対してホウ(報告)、レン(連絡)、ソウ(相談)を求める、所謂「ホウ・レン・ソウ」の経営スタイルを止目ることを推奨した。

部下の相談がないと「自分自身で意思決定できない」のはトップ・マネジメントとして失格であり、部下からの相談がないのはつらいかもしれないが、それに耐え、経営スタイルを転換していくことを解決法として示した。 具体的には;

1.仕事を任せられる人材を見つける。
2.権限の移譲で権限に見合う給料を与える。
3.企業・組織の構成員が目標達成のために努力し、組織の目標達成のために役立てると共に、自らの動機付けを行うシステムとしてのMBOをうまく定着させる。

の3点の実行が望ましい。

以上を説明して講演を終えた。

講演終了後、近藤正樹会頭から記念プレートが贈呈された。

Nikkey Shimbun

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