社外取締役は本当に役に立つのか(?)-緒方四十郎の海外経験からー

社外取締役とコーポレートガバナンス
                 2013年9月5日
                 日本銀行・元理事 緒方四十郎
    [2014年4月14日逝去]
  以下は、2014年5月開催予定の一般社団法人 グローバル人材育成研究会の「グローバル・リーダー講演会」用に作成されたメモを、国立大学法人長崎大学名誉教授 藤野哲也の責任で編集したものである。
                
1.バークレイズ銀行の社外取締役
a.はじめての非英人。東京支店長の推薦。
  b.常勤約5名と非常勤約15名(人事委員会か監査員会に所属[緒方は後者に所属])で構成。
c.本会議は年10回。8回は本店で、2回は一流ホテルで。株主総会は行外で年1回。
  d.本会議には、秘書役が出席、簡単な議事録を作成。
  e.関係書類はロンドン到着時にホテルへ。会議後持ち帰らぬ者も。
  f.議題は業務案件のみ。経済情勢の議論なし。BOE総裁の助言を求めること、外部の一流証券業者の
意見に頼ることが少なくない。
  g.監査委員会は、常勤・外部会計士との会合、常勤を除いた会合、委員のみの会合と3段階。
  h.本会議後の昼食では、役員でない高級職員も同席。
i.英人同士による英語での議論。外人への配慮なく、議論への参加は至難。
j.非常勤役員は、会長交代の際、頭取選出の際の相談相手(会長の言)。
  k.往復の航空運賃(ファーストクラス)、空港・会議場への送迎、宿泊費は銀行負担。
  l.在日子会社の非常勤取締役会長も務めた。

2.反省点
 1)企業経営に貢献できず。
「平時には無用でも、非常時には有用」と言われるが、非常時に遭遇せず。
   平時にも貢献度少ない。
   知識と経験の欠如(特に有識者の場合。持合い先、投資家代表よりも)。
   会議で質問ばかりできず。会議外で聞けるとは言うが。
   結局、会社の体裁づくりと暴走の予防が主たる役割か。
   とは言え、適材難。
 2)当方にとっては良い経験。将来の指導者に他社でこうした機会を与えてはどうか。
 3)米国式の会長と社長(CEO)のみ常勤、他は非常勤という方式は、かえって会長の独裁を招き易い    (NY証券取引所顧問会議での報告)。

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