女性の好みは黒から白へ(?)

 「黒から白へ」 女性下着の話題であれば、話は逆であろう。女性は伝統的な「白物下着」の呪縛から解放され、自由にカラー、デザインを楽しむようになった。黒い下着も(デパートやスーパーの売り場で見掛ける限り)決して少なくないようである。つまり、「白から黒へ」が世間の流れなのである。

 ところが、「黒から白へ」の業界、商品群がある。家電製品である。テレビ、DVDレコーダーなどの「黒物家電」の国内出荷額は、2010年の3兆9000億円をピークに、2014年には1兆3420億円と3分の1に減少した。一方、かつて落ち目の商品群とされた(三洋電機の消滅!)冷蔵庫、洗濯機、エアコン、炊飯器などの所謂、白物家電の国内出荷額は意外にも横ばいで、2014年には2兆2684億円と黒物家電の1.7倍と逆転現象が起きているのである。

 テレビは地上デジタル放送への切り替え需要の反動から来た落ち込みから回復できずに深刻な状況で(シャープの経営危機!)、DVD録画再生装置などはスマホやタブレットの動画機能に食われているらしい。リーマンショック前と比べて、薄型・液晶テレビが60%減、DVDなどの録画再生装置が35%減というから、パナソニック、日立、ソニーなどで生じた巨額の赤字決算もうなずけよう。

 問題は、何故、白物家電は落ち込まなかったのか、その生き残りの理由であろう。勿論、原因は単純ではない。「失われた20年」といわれる日本経済の低迷の中で、より必需品である白物家電は消費者の支出から削られずに済んだこともあろう。

 興味深いのは、成熟商品=白物家電の健闘を支える要因のひとつが、「女性の社会進出」にあることだ。非正規労働者の主力であるパート主婦を初め、結婚後も退職せずに頑張る女性の増加などは、「家事の手間が省ける」乾燥機能ツキが主流になり、週末に一週間分の買いだめができる大型冷蔵庫が伸びている。

 女性の社会進出は、避けて通れないグローバルな潮流である。大容量・高機能白物家電に支えられた女性(労働力・知恵)を生かせなければ、日本企業もグローバル競争に生き残っていくのは難しいだろう。

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