「右手にスマホ」、でも「左手には手帳」

 年の瀬が近づき、街では郵便局員、いや日本郵政株式会社の社員たちが出店を出して少しでも沢山の年賀状を売ろうと必死である。この頃は年賀はがきの代わりにE-mail で年賀を、という人も出てきたが、やはり年賀状はハガキでもらうと気持ちがいいものである。特に添え書きがあるとその人の近況が分かってうれしい。「年賀記念切手」も当たるし。

 
年の瀬が近づいて様変わりするのが本屋さんの特設売り場である。まず、今年のクリスマス・カードが和風、洋風、大人向け・子供向け……と並び、次に来年用のカレンダーが所狭しと並べられ(吊るされ)、そして、意外にも広い場所を取っているのが来年の手帳である。

 パソコンや携帯、そして最近はスマートフォン(スマホ)やタブレットでスケジュール管理をして人が増えている中で、手帳売り場の面積が以前と比べて特に減ったという印象はしない。むしろ、手帳もいろいろな工夫がされて、例えば同じ「能率手帳」の同じシリーズでもdayly とmonthly の罫線やスペースの配分が微妙に違っていて、最初にある「年間スケジュール表」も、折り畳み式から見開き型、各月型……とバリエーションも増えている。

 手帳市場は1億冊と言われる。乳幼児や小学生、寝たきり老人などを除けば、ほぼ日本人が一人1冊持っている勘定になる。しかも、多くの人が来年もスマホ(デジタル)と手帳(アナログ)を併用しようと考えているという調査結果もあるらしい。手帳で月間の大まかなスケジュール管理を行ない、スマホで時間単位のスケジュール管理を行なう、というのが一例である。

 アナログとデジタルは、ともすれば対立的に捉えられがちだが、人々はその長所・短所をよく分かっていて、うまく使い分けているのである。手帳の例で言えば、手帳には高い一覧性があり、充電し忘れていざというときに見られないという心配もない。アナログでしかできなかったことがデジタルでできるようになっていくのは進歩だが、そのことでアナログがなくなって行くように思うのは「錯覚」である。

 デジタル化された機器を使いこなして技術の進歩の恩恵を受けつつ、手帳の持つ高い一覧性のようなアナログならではの良さをうまく併用する能力がこれからの「デジタル時代」に求められる能力だと言えよう。

 

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